コード進行を知る その4:ドミナントモーション①
前回までのあらすじ
ダイアトニックスケール内の各コードにトニック・ドミナント・サブドミナントの機
能を割り当てるところまでやりましたね。おさらいで画像を置いておきます。
Key=Cの時の3和音・4和音を機能ごとに分けたものです。
余談なんですけど、最近読んだ和声の本では、IIIm(Key=Cで言うところのEm)は扱いが少々難しいという理由で機能を割り振ってなかったんですよね…このブログではトニックとして扱いますが、理論体系によってはそれも微妙に異なってくるんだなということを改めて確認しました。閑話休題。
ドミナントからトニックに行く力というものは結構強いんですよ。ドミナントを鳴らしたあとはトニックに行きやすいというか、それが落ち着くというか。その音の動きのことをドミナントモーションと呼びます。
今回は、そんなドミナントモーションがなぜ落ち着くのか?という構造について、次回はドミナントモーションを色々な面で使う方法について書いていきます。今回も便宜上Key=C上で話を進めていこうと思います。
シはドに行きたがる
ではまず一例として、G→C(V→I)の動きについて説明してみましょう。構成音を並べてみます。こういう時に譜面かけるともっと説明がスムーズだと思うんですが、まずは文章でお楽しみください(追記します)
G:ソ シ レ
C:ド ミ ソ
GがCに行く進行なので、その音の移り変わりを1つずつ見ていきましょう。原則として、近い音に動くと考えます。
①Gのソ→Cのソ
②Gのシ→Cのド
③Gのレ→Cのミ
仮にこのように3音動くと考えましょう。
①はそのままですね。GのRootがCのP5thになっています。どちらもコードのRootに対して安定する響きになっています。
②が重要!コード進行を考えるときは基本的に進行する先のコードを基準に考えるのですが(これも重要)、シという音はトニックコードCのRootであるドに非常に近いのです。んで、近いということは安定する方向に行きたがるんですよね。
トニックコードCにとってのRootドは、いわゆる超安定の音。この安定する音と半音差という距離でとても近いシという音は面白いことに、非常に不安定であるのです。これが音の性質の面白いところだと思います。従ってこのシはドに行きたがる力が強い、と言えます。安定する音に近ければ近いほど安定する音自体に引かれていく。磁力みたいなもんですかね?(適当)ようはこの動きがドミナントモーションの核を担っています。
③も重要っちゃ重要なんですけど、ちょっと説明に自信がないですね。ここでレはミに行くと言っていますが、同じ距離ならレはドにも行くと言っていいんじゃないかとも思っています。いずれにしろ、このレもドかミに移行します。
以上より、特にシ→ドの動きがドミナントモーションで大事だということがわかります。その為、この音を含んでいるコードであるGやBm(-5)がCに行きたがるんですね~
だが世界には、もっと強いドミナントモーションを含んだコードが存在した…
ファはミに行きたがる
それはG7です!いわゆるドミナントモーションという進行は、G7→Cという「ドミナントセブンスからトニックへ向かう」進行を指すことが多いですね。
G7の構成音を並べてみます。
G7:ソ シ レ ファ
C :ド ミ ソ
G7の構成音のうち、ソ・シ・レについては先述の通りです。では新しく参入したGの7th、ファについてです。
このファは半音下がることで、CのM3rdであるミになります。「安定する音に近い音は不安定」という先述の例に乗っ取ると、このファもミに対して不安定な音になります。従って進行上安定したいために、ミへ行く力が強いのです。よってG7のファも、ドミナントモーションにとって大事な存在なんですね~
シとファはめっちゃ仲が悪い
お手持ちの楽器やDAWでシとファを同時に鳴らしてみてください。どっちが上でも構いません。嫌な響きがするでしょう?この2音の音程は「増4度」の関係と言われたり、またトライトーンとも呼ばれております。なぜ嫌な響きになるかは…多分人体の不思議とか、遺伝子的なところに起因すると思います(なげやり)。まあそれはどうでもいいんです
この2音が同時に鳴ると気持ち悪いってことは、早く別のコードに行くなりして落ち着きたくなるという心理が働きます。シとファは顔も見たくない関係、早く自分の家に帰りたいねーっていう気持ち。あ、じゃあ近いしシはドに、ファはミに行こうかな。これこそがドミナントモーションの真髄です。
以上三つがドミナントモーションの仕組み
みたいなもんです。まとめておきましょう。G7→Cという進行の中で、
・G7のシはCのドに
・G7のファはCのミに
・G7のシとファは仲が悪いので早く離れたい
ドミナントモーションという動きは、この3つの性質を持って特徴づけられます。
なので実際は、「G→C」というGに7thがない形は、少しドミナントモーションの力が弱く感じますね。それでも他のコード進行よりは力強い動きを感じます。
ほんで、実際のところはKey=CでのG7→Cだけでなく、いろいろなコードを出発点としてドミナントモーションすることもあります!これを使えるとかなりつよい。気がする。
次回ももうちょっとドミナントモーションの話が続くんじゃ。