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コード進行を知る その2.5:和音の転回形

代理コードってのを説明するために

 和音の展開形ってものを説明する必要がある気がしてこの項を書いてたんだけど、それだけで結構な文量になりそうなので別腹として書こうと思います。よって、そんなに読まなくてもいいんじゃないかなってページになります。それでも良ければ続きをどうぞ。

 

コードの転回形

 和音の構成音のうち、一部をオクターブ上にすることで得られる和音を転回形と呼びます。例えば、Cメジャーの構成音は

 

 C = ド ミ ソ

 

です。このうち、ドをオクターブ上にすることで、

 

 C' = ミ ソ ド↑

 

という和音を得ることができます。これを第一転回形と言います。

 また同様に、第一転回形のミをオクターブ上にすることで、

 

 C'' = ソ ド↑ ミ↑

 

という和音を得ます。これを第二転回形と言います。また最初の和音(C=ドミソ)基本形と言います。

 

 クラシックの世界では、この基本形・第一転回形・第二転回形は響きが違うという点で別物と扱う傾向にあります(詳しくはないので各自調べてください)が、ポップスにおいてはこれらを全て同じものとみなすことがほとんどです。例えばギターでコードを抑える時も、

 

f:id:wauchangwau:20170918011009j:plain f:id:wauchangwau:20170918011012j:plain

 左:オープンコードによるC(以下C1)

 右:バレーコードによるC(以下C2)

 このような押さえ方の違いがあります。これは一例ですのでまた別の押さえ方も沢山あります。それぞれの構成音を低い方から並べてみましょう。

 

 C1 = ドミソド↑ミ↑

 C2 = ドソド↑ミ↑ソ↑

 

となります。厳密なことを言うと、この二つの和音は音色の順番が違うので違うものとして扱います。が、ポップスなどのいわゆる「コード」を扱うジャンルでは、この二つの和音を同じCコードとみなし、同様に扱います。

 

 和音 ≠ コード

ってことなんですよね。なんか極論で怒られそうだし、当たり前過ぎて怒られそう。

 クラシックで育ってきたピアニストにコード譜を渡して伴奏お願い!って言うと、めちゃくちゃ困るそうです。なぜかって、そのコードが意味する和音は基本形で弾けばいいのか展開形なのか、そういったものが全く支持されないことが多いからです。

 そういうわけで、コードってのはあくまで記法であって、「どの音を弾け」という厳密な支持ではないということなんですよ。ちょっと無理やりまとめましたが。

 

 C6 ≒ Am7

 この展開形の考え方を応用することで、あるコードを別のコードとみなすことができます。例えば、C6とAm7について。構成音を書き出しましょう。

 

 C6 =

 Am7 =

 

あー、もうこれ滅茶苦茶似てますねー。同じとみなしたい!しかしC6はルートがドだし、Am7はルートがラ。これは一緒にはできないか…?

 できます。転回しちゃいましょう。C6をぐるっと回すことで、

 

 C6’ = ド↑ ミ↑ ソ↑

 

という和音を得ます(第三転回形と言ったりします)。コード理論では、一番低い音をルートとみなすことが多いので、このC6'をその理屈で考えてみると、

 

 C6' = ラ(Root) ド↑(m3rd) ミ↑(P5th) ソ(m7th)

     = Am7

 

となり、C6の転回形からAm7を得ることができます。

 

 回りくどい説明となりましたが、つまり。

 「C6とAm7は構成音が同じで、ルートがドかラかの違い」

ということになりますね。

 

 代理コード(の説明のさわり)

 上の結論をディグリーネーム(コードをローマ数字で呼ぶ呼び方のことだそうです)で表現すると、

 

 I6≒VIm7

 

となります。メジャーキーにおいてIはトニックとなり、そこに7thやテンションノートがついても機能は変わらないということを話した気がします。つまりここでI6はトニックとなります。

 ここで面白いことに、構成音が同じコードは、トニックとしての機能も同じとみなすことができます!

 つまりI6がトニックということは、構成音が同じであるVIm7もトニックとなり、簡略化することでVImはトニックということがわかります。

 このVImのことを、Iの代理コードと呼び、同じくトニックとして扱います。

 

 といったところで、次回こそ代理コードのお話をしたいとおもいます。